貧乏男爵家に転生したシーナ・アルネモネが持つ前世の記憶は、ただ、幸せになれなかったという悲しい思い出だけ。愛されたいと願い、他人に尽くしても利用されるだけで、期待を裏切られるばかりだった。
せっかく前世の知識があってもこの世界で何の役にも立たないけど、この記憶を教訓として。今世では、他人に期待せずに自分のために生きていこう。そう決意し、自分なりに計画して過ごしていたある日、裕福伯爵家のノイ・アンリスが倒れるところに偶然居合わせてしまう。見過ごすわけにもいかないから助けただけなのに。「何を期待しているんだ」と難癖をつけられて――。
※シリアスではありません。※後々気になった細かい点を修正している場合があります。誤字報告もありがとうございます。