──精霊と少女が歩む旅路は、やがて神話となり、彼女はこう呼ばれるようになる。
“神様”。
ルマーン帝国、ハーヴァー地方。
静かな村で暮らす少女・ラミナは、ある日、両親を立て続けに失う。
絶望の底にあった彼女の耳に届いたのは──
「ラミナ元気出しぃ、ウチがそばにおるから!」
聞こえるはずのない、精霊の声だった。
やがて彼女は【精霊使い】のスキルを継承し、精霊たちと契約を結ぶ。
――これは、少女と精霊たちが紡ぐ、世界と命の物語。
精霊の加護を得たラミナは、学び舎で仲間と出会い、
外科医療の存在しないこの世界で、“魔素”に蝕まれた命を救う術を見出していく。
それは、時に治癒の奇跡となった。
やがて訪れる収穫祭と学園祭。
夏休みに巻き込まれる事件。
そして彼女は、かつての精霊使い――祖先・リタが歩んだ道を辿る。
「世界を救う」なんて、大それたことじゃない。
でも、いま目の前の命を救いたい。
この世界では、治癒魔法や薬草による
“内科的な医療”は存在する。
けれど――
身体を切開して治すような“外科的手段”は、技術的にも文化的にも存在しなかった。
少女・ラミナは、精霊たちと共に身体のしくみを学び、
「もしかしたら、こうすれば救えるんじゃないか?」と、常識にとらわれない柔軟な発想と、手探りで方法を模索していく。
◆戦闘万能でもない。恋愛主軸でもない。
少女の“医療”と“成長”を描いた、ささやかで優しい英雄譚。
──精霊との絆が、命の未来を変えていく。