当時15歳であったアリシア姫は”能力がない”という理由で王国を追放されてしまった。それから都市を転々とし、騎士に拾われ、たどり着いたのははるか海の彼方にあるメーナ王国であった。 騎士を目指したアリシアは、宮殿では決して触れることのなかった剣を握り、訓練を始めた。それから毎日のように剣術を磨き、しばらく実践訓練、冒険者として魔物の討伐をするようになった。剣術の才能があったアリシアは最終的に剣聖にも劣らぬほどの剣術を会得した。 騎士団の入隊試験の日、伝説上の存在とされていた魔王が現れたという知らせが入った。騎士になる道をやめ、冒険者の道を、勇者になることを決意する。 それから長い長い旅の道中で仲間と出会い、何年もかけてついにアリシアは名実ともに魔王を討ち果たした勇者になった。 追放されてから10年、アリシアは両親に制裁を下すべく再び祖国に戻ろうとしていた――

かつて「エピトラぺジオ」では魔法が世界の根幹であった。 しかし科学技術の発展により魔法しか取り柄のないエルフは没落してしまった。それなら数百年がたったある年の冬、森に住まう一人のエルフの少女、アイーシャ・ヴェノスカヤは人間の手により妹を殺されてしまう。大国同士の戦争が続く中、果たして彼女はエルフの誇りと自由を取り戻せるのか？これはそんな戦争に巻き込まれた一人の少女の物語である――