演劇をこよなく愛している主人公の一ノ瀬恵吾♂は演劇の腕もなかなかのもので、高校生でありながら、劇団にて恵という役者名で準主役(少女役)を演じていた。その代わりと言ってはなんだが、恵吾には学校での友達が居なかった。私生活では重度の根暗だったのである。
ある日、そんな恵吾の元に、クラスメートの峰岸薫瑠が声をかける。
「あんた、劇団彩鳥の関係者よね。私、恵さんのファンなの。あんたと一緒に居れば恵さんに会えるかもしれないから、友達になりましょう」
薫瑠はどうやら、恵吾が恵である事に気付いていないようだ。恵吾も自身が恵であることを隠したいと思っていたため黙っているのだが、そんな恵吾に薫瑠は付きまとう。
「私は恵さんに会うためあんたに付きまとう。ついでに、あんたの根暗を矯正してあげる」
そんな具合で始まる、破綻したすれ違い演劇コメディー。