人生の大半を難病の克服に費やしてきた少年――佐藤琢磨は、ようやく退院できることになったその日、道路に飛び出した小学生をかばい、ダンプカーに轢かれて死んでしまう。
次の瞬間、目の前にいたのは幼女の格好をした神様。
悲惨な人生を送ってきた琢磨に同情した神様は、彼に異世界転移を持ちかける。
生前、闘病ばかりで普通の人のような暮らしをできなかった琢磨は、異世界でちゃんと生きてみたいと思い、神様の提案を受け入れる。そんな琢磨に神様はうきうきで告げた。
「それはよかった。なら、お決まりの異世界行きにあたっての特典付与の時間だ」
「僕には何もいりません。『生きているだけで丸儲け』ですから」
「わかった。『生きているだけで丸儲け』だね! 君の願い、確かに聞き届けたよ!」
「え? ちょっと――」
神様から問答無用で押し付けられた謎の特典と共に、琢磨は異世界に降り立つ。
彼はまだ知らない。
『生きているだけで丸儲け』がもたらす、その異常ともいえる恩恵を。
※おかげ様をもちまして、書籍化決定しました! ダッシュエックス文庫様より、2018年07月25日に第1巻が発売となります。
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