星降りの夜に願いごとをすると、その願いが叶う。
市井でまことしやかにそんな噂が囁かれていた。
両親を事故で亡くしてしまった少女マリナは、血の繋がらない病気がちな妹シャルロットと共に貧しい生活ながらも懸命に生きていた。
そんな姉妹も噂を聞きつけ、寒さに震えながら星が降るのを待つことに。
姉はその噂を信じずとも妹に合わせ、妹は純粋に楽しみにして。
妹は睡魔に抗えず寝てしまうものの、姉は星降りを目撃した。そして願い……というよりは、目標を立てて願掛けをした。
「妹に、おなかいっぱい食べさせてあげたい。この子が、健康に、強い体になれる日が来ますように――」
そしてその願いは、姉の腕に料理の能力(スキル)が宿るという奇妙な形で叶えられる。……叶えられてしまった。
それがどのような能力を備えているのか、本人に一切を知らせることなく。
これは、その後に勇者になってしまった妹の魔王退治と、その姉の贖罪の旅の物語である。
一応本編完結。きまぐれにおまけを投稿してます。