この気持ちの名前って、あるのかな。
そんな不明の思いを抱く少女は、とある青年の背中を追っていた。
彼は霧と蒸気がただよう王国の王子、アイザック。
人には理解できない、しかし現実に存在する超常現象を探すアイザックは、自分の下についた少女を連れて、王国中を巡っていく。
出会うのは世界から外れた存在だけではない。
夜空に散る星のように、人々が胸に描く思いの数々。それらを結んでできる星座のような人間関係。そして勿論、少女の知らない世界も。
知り合いから、両想いへ。
少女とアイザックの霧の中で相手を探す、遠くも確かな細い恋。
見えない知らない分かりたい。夢中で霧の中を進んでいく少女が出した答えは……
©2025 薪原カナユキ