遊牧民の羊飼いのパストルカは長老の頼みで羊の毛を売りに行っていた。
それはいつもと変わらぬお使いのはずだったのに、皆のところに戻ると異変が起きていた。
信じられない場面に遭遇するパストルカ。絶望の中で動けずにいると、そこへ偶然現れた美しくも威厳のある人物に助けられる。
大きな黒い角を頭に生やし、貴族のような気品のある黒い服に身を包んだ人物。
彼はまるでおとぎ話のような……?
彼の紅い双眸に射抜かれたパストルカ。
彼の雰囲気と圧倒的な力を見て、自分は何でもするから可愛がっていた羊を助けて欲しいと頼み込む。
「全く、家畜の魂の癖に我へ攻撃を仕掛けようなどと生意気な。しかし、そこまでして主人を守ろうとする心意気は上に立つものとして評価に値する。人間よ、いいだろう。お前の願いを叶えてやる」
「ほ、本当ですか?」
「ただし、お前には我の言うことを聞いてもらう。我の名はゼルブラッド・ノクターノ。魔界を統べる王である」
「魔界……王……? ということは、あなたは……」
それが魔王とパストルカの出会いだった。
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・ボーイズラブ要素を含むお話です。苦手な方はご注意ください。
・他サイトにも投稿していますが、こちらは全年齢用に少し改稿しています。