はるか古の時代。
かつて、アースガルド大陸は魔道師が治める単一の王政国家であった。
悠久の時が流れ、魔法に関する知識の秘伝が徹底された結果、魔道師は自身の一族に伝わる魔法の知識しか持たなくなっていき、個々の魔道師の弱体化が進んだ。
魔法の絶対的な力をもって国の圧政を布いていた古代魔法王国は、徐々に広まった反乱を力で治めることができず、滅び去った。
奴隷として悠久の時間、冷遇されてきた各種族の怒りはすさまじく、古代魔法王国の為政者たちは文字通り、一人残らず殺されたのであった。
自由を手に入れた各種族だったが、平和を手に入れたわけではなかった。
古代魔法王国を滅ぼすという点では共闘していたが、決して一枚岩だったわけではなかった。
種族間で対立し争い、それと同時に種族内でも実権をめぐって争うという長い混乱の時代を経て、大陸は4つの国を形成した。
エルフのみで形成し、大陸西部の森林地帯に樹立した『風の国 シルフ』
ドワーフを中心とした妖精たちが、大陸北部の山岳地帯に樹立した『鉄の国 アイロニア』
人間のみで形成し、大陸東部の高原地帯に樹立した『帝国 エンフィニア』
人間と亜人が手を結び、大陸南部の平原地帯に樹立した『王国 コンコード』
長らく4カ国による均衡が保たれていた大陸であったが、経済政策に行き詰まった帝国が鉄の国へ侵攻したことを発端として、やがて大陸全土を巻き込む大戦が起こる。
王国と鉄の国の連合軍により滅亡した帝国であったが、やがては鉄の国と風の国も王国に併合されることとなる。
アースガルド大陸を統一したコンコード王国。
これは、この国の次世代を担う若者たちの物語である。