大好きな声優が出ているという理由だけで初めてプレイした乙女ゲーム。
無課金で地道に進め、ついに推しキャラの全ルート、全ボイスをフルコンプリートした深夜。
妙な光が部屋を埋め尽くしたと思ったら、見知らぬ場所にいた。
目の前には、ゲームのナビゲーターで見た鳥が。
その鳥から、自分は侯爵令嬢で、現在諸事情により進退窮まっているために、身代わりに別の世界から背格好の似た人間を呼び寄せたのだと説明される。
それは、聞けば聞くほど、自分が寸前までプレイしていた乙女ゲームの世界と設定そのままで――!?
身代わりなんて冗談じゃないと思ったが、ゲームの中の世界ということは、登場人物の声はもしかするともしかして!
という邪まな希望がむくむくと湧いてきて、女は身代わりを決意する。