ある日、有希のバイト先のレストランにひと組の家族が来店してきた。
いつものように接客をしようとするとするが、その家族の父親と思わしき男性を見て有希は固まってしまった。その男性は10年程前に母と離婚し、それ以来音沙汰のなかった実の父親だったのだ。
父は新しい家族を作って幸せを築いており、大きくなった有希の目にはそれが理想の家族の姿だと眩しく見えていた・・・そしてそこに自分の居場所は無いと有希は悟った。
父も娘の有希の存在に気づき、何とか接触しようと連絡先を渡してくるが、有希は父の新しい家族を思いやって連絡を入れる事はなかった。
そしてある日、ついに父は有希の働いているレストランに一人でやって来た。
ここに偶然の再会からお互いを思いやる父と娘の穏やかな攻防が始まった。