政略結婚を強いられた辺境伯令嬢リリシアは、冷たい婚約者との未来に絶望し、すべてを捨てて王都からの逃避行を決意する。だが、森を抜けた先に待っていたのは、かつての幼馴染であり、彼女に密かに想いを寄せ続けていた青年・ライナルトだった。全てを知った彼は「君を一人にしない」と誓い、彼女を追って現れる。
逃げることでしか選べなかった自由、言葉にできなかった愛情――ふたりの再会は、それらを少しずつ溶かしていく。ライナルトは自らの婚約を解消し、リリシアもまた、他人の決めた人生ではなく“自分の足で歩む未来”を選ぶ。
やがてふたりは小さな町で穏やかな生活を始め、寄り添いながら歩んでいく。逃げた先にあったのは終わりではなく、“本当の始まり”だった。