子爵家の次女である私(シエナ)は、子供向けの童話を書くのが趣味だ。親に促されて婚活夜会といわれる一年に一度の大夜会に出かけた。この夜会に十七歳から三回出席してお婿さんが見つからなければ一生独身とも言われる。私は二度目だから、気は進まないが今年は何とか目星をつけなくては親に申し訳ない。驚いたことに夜会が始まってすぐ、この国の第一王子アルフィー殿下の婚約破棄の場面に出くわした。好奇心で腰に着けているバッグから紙束を取り出し、彼らの様子を書き始めたが、理不尽な理由に我慢ならなかった私は後ろに来た男性にバッグを預けてアルフィー殿下の前に飛び出した。まさかこのことで自分の運命が変わるとは思いもしなかった。