遥か古の時代。
人類がまだ火も鉄も知らぬ、文明という言葉すら存在しなかった頃。
天空より、七本の魔剣が地上へと降ろされた。
ルクス。
イグニス。
セーレ。
オロバス。
ストラス。
ガープ。
その名を持つ剣たちは、幾多の時代と国を渡り歩き、選ばれし者に超常の力を授けてきた。
それぞれがひとつの伝説を築き、血と栄光の歴史を刻んだのである。
だが――
ただ一振り、ミセリコルディアだけは、その系譜に連なることを拒んだ。
針のように細く、繊細で、どこか禍々しさすら感じさせるその魔剣は、人前に姿を見せることが極めて稀であり、現れたとしても、いかなる者にもその力を開かぬまま消え去った。
それでも伝承は語る。
「ミセリコルディアは、真に相応しき者の手に渡るとき、最強の剣となる」と。
そして時は流れ、六剣すべてを掌中に収めたレナトゥス王国が、ついに大陸を統一する。
しかし繁栄と支配の頂点に立った王国でさえ、ミセリコルディアを手にすることはできなかった。
やがて王国は滅び、六剣は再び世界へと散った。
そして忘れられた最後の剣は、悠久の流浪の末に、名もなき一人の男の手に渡ることとなる――
※集客力を加味してタイトル変更しました(2025/5/26)