【魔】の名家の長男として生まれたルト=エンブルクには魔法の才がなかった。
ついには親にも見捨てられ、家を追い出される。
彼はその日食うにも困る、泊まることも難しい、身体に治りきっていない傷が増えていく……と、追い詰められていく中で、今にも死んでしまいそうな行き倒れの黒髪の少女を見つける。
何の得にもならないことを知りながらも、自身の治療費を代わりに使い、自分も食べられないのに食事を与えて少女を生かした。
その少女は話した「僕は……異世界から来た、勇者です」と ──。
これは、勇者として努力していく弱い少女と共に、なんだかんだと言いながらも人助けをする主人公が奮闘し、成長し、互いに惹かれていく、そんな王道ファンタジーです。