俺の一歳年下で後輩な幼馴染、秋山千覚(あきやまちさと)は人の心が読めてしまう。
いわゆるサトリってやつだ。
千覚は能力のせいで色々苦労してきて、でも俺はちょっと特別な事情もあって彼女とは仲良くしてこれた。
でも、あろうことか、数日前の夜に、千覚のことを好きだということを自覚してしまった。
奴は人の心をサトレるので翌日には察知されてしまった。
これから気まずくなるなあ。そう思ったのだけど、彼女は予想の正反対の行動を取って来た。
今までロクにスキンシップもして来なかったのに何故か急に手を握るし肩を寄せてくる。
こいつは男をからかうような性格じゃないから好意故なのはわかる。
でも、その癖に決定的な言葉を言ってくれないので困惑するばかり。
お前の態度はどういう意味なんだ?そう尋ねてみたのだけど。
「じゃあ、今度のデートで当ててみてください」
千覚はなんとも捻くれた勝負を挑んできた。
いいだろう。なんでこんな回りくどいことをするのか暴いてやる。
これは、相手の好意に気づきいている二人が、どうでもよい意地のために、
意味不明な勝負をして、実態はただいちゃついているだけのお話。