それは、後の世にそう呼ばれる戦い……
鋼の皮膚、油圧で伸縮する筋肉、潤滑油と緩衝材の血、高圧炉の心臓を持つ、機械の巨人……
それらによる、世界を震撼させるほどの戦いの記録である。
神話に謳われる、巨人の戦いを彷彿とさせるそれは、誰かが仕組んだことなのか、それとも人の性(さが)なのか。
答えの見えない、見えたとしてもどうしようもない疑問を抱きながら、人は戦う。
そんな中、偶然が重なり出会った、一人の男と一人の女……彼らが、この惑星の歴史にとって大きな意味を持つ存在になるとは、誰も予想し得なかったのである。
……ただ一人を除いては。
漆黒の装甲は、人の想いという名の光を吸い込むのか、あるいは溜め込み出力するためか。
……鋼の巨人は、何も語らない。