命を奪うことで、その生物の能力をも奪う能力を持った少年。少年は自らの世界を喰らってしまい、異世界へと飛ばされてしまう。世界を、そこに存在する全ての命を喰らってしまったことに絶望する少年。そんな時に出会った水の神の一柱ウィヌスと共に、少年は新しい世界で旅を始める。世界一つの力を身の内に喰らった少年の行く先は――？

特に何も起こらない。ダメな女の子が絶望したり希望を持ったりするお話。（『そこにカイロスがいるか？』　の続編ではありません。あしからず。ですが、先にそちらに目を通すのをおすすめします。そしてそちらを読んだとしても、このお話を読むのはおすすめしません）

　職業、魔王。特技、召喚術と暴力。趣味、世界征服。出身地、クリトピエム。 　…………変人要素を軒並み揃えたプロフィールを持つ、自称魔王の電波美少女。『八重野キリカ』と幼馴染みだった主人公は、幼い頃から彼女に振り回されっぱなしだった。 　幼稚園でも、小学校でも、中学校でも、二人はいつも一緒。 　中学時代に彼女が設立した『魔王部』にも主人公は当然のように在籍し、地元の不良達でもやらない自爆テロを平然と実行させられてきた。 　これからもそんな目茶苦茶ながらも悪くない、嵐のような日々がずっと続いていく。主人公はそう思っていた。 　しかし、 『私は帰る』　 　そんな言葉だけを遺して、『八重野キリカ』は失踪した。 ────そしてその半年後、主人公は何故か異世界にいた。 　これは勇者として異世界にやってきた主人公が、世界を救うそっちのけで幼馴染みを探し続ける割りとセンチメンタルな物語。