「私、学院へは男性として通うことにいたします」
第二王子である僕の婚約者は、突然そんなことを言い出した。
王族にしか知り得ない予言書の情報を得たのだと言う彼女は、入学をきっかけに悪役令嬢とやらになるらしい。その末に待ち受けているのは婚約破棄と極刑。それも僕による宣告なのだそうだ。それらを回避すべく冒頭の発言に至ったらしいのだが、彼女はわかっていない。僕が彼女をそう簡単に離しはしまいということを。
──なんていう第二王子の思いなどは露知らず、ここがかつてプレイしていた乙女ゲーム『シンデレラガールとプリンスの恋』略してガルプリの世界であることを入学前日に気付くことになった私は、ない知恵を振り絞り、男性として過ごすことでとりあえず死亡フラグを回避しようと試みることにしました。