魔法士アキムは結論を迫られていた。上空に浮かぶ「影の王」の輪郭――真球の姿をした巨体、圧倒的殺戮能力を有する人類の宿敵は、かつての厄災から100年の眠りについていた。
目覚めるまでの期限はあと12年。一度は滅亡の危機に瀕したレジスタ共和国は対抗策を練っていたが、武器は「魔法研究所」が開発を続ける魔法弾のみ。現状では木々を揺らすだけの弱い光の塊に比べ、敵の大きさは直径100メートル。巨大さから「第3の天体」とも喩えられる。
皆が生き延びるためには討たねばならない。アキムは無理難題を解決する為、とある知識に目をつける。はるか遠い世界に存在すると文献に記載された「ソフトウェア」という名の情報技術だ。ソフトウェアを開発するC/C++言語プログラミングの概念を元に戦力を増強するアキム……その奇想天外な発想は、やがて世界を震撼させる。
★本作はエンターテイメント小説であるのと同時に、C/C++言語を解説する手引書です。専門的な技術書が説明するコーディング手法は省略し、つまずきがちな場所を理解するためのコツをファンタジーの世界観で表現しています。(主にデータ構造を扱っています。)