それは学園の卒業パーティーでの出来事であった。
パーティーで歓談を楽しんでいた卒業生の公爵令嬢、マイオドールの元に、婚約者のシドがやってきた。
「マイオドール、お前に話がある!」
「丁度良いですわ。私もシド様にお話しがあったのです」
シドは別の女性、メアリーを愛しており、マイオドールに婚約破棄を突きつけるつもりであった。
しかもマイオドールはメアリーのことを皆の前で良い訳のしようのないほど確実にイジメている。それは勘違いとか誤解では断じてない。そんな令嬢と結婚なんてできるものか、こんな婚約、絶対に破棄してやる! と。
「ここに居る皆を証人とさせてもらおう、皆も聞いてくれ! いいかマイオドール! 俺はな、」
「シド様! あなたとの婚約、破棄させてもらうわ!」
その時、悪役令嬢が先手を取って婚約破棄を突きつけた。