世界を業火に包んだ戦争によって全ての国家が崩壊し、科学文明が滅びてから数百年。
辛うじて滅亡を免れた人類は化石燃料や火薬に代わる資源・魔力結晶を手に入れ、魔法による文明を築き始めた。
しかし、人類が滅亡を免れたのと同様に、争いもまた滅びることはなかった。
魔力結晶を巡る争いから二百年に渡る戦乱が続く中央大陸では、魔法の軍事利用に成功し、多数の魔法兵器(マガルク)と魔法戦士(マグヌス)を擁する強大な軍閥――征討軍が急速に勢力を拡大していた。
そして、戦火に苦しむ人々に追い打ちを掛けるように謎の巨大生物――怪獣(ルガイヌム)が各地に出現し、その人智を超えた力を以て街と人を襲い始めた。
戦火や怪獣の襲撃により幾多の街が滅び、夥しい命が失われても、人類同士の争いは止まず――かつて二度に渡り滅亡を免れた人類は、またしても滅亡へと向かっていた。
これは、そんな時代を生きる少年と、彼のメイドとなった少女の物語。
笑顔を忘れた少年と、涙を知らない少女が織り成す、冒険の物語。