かつて、『白の真祖』と呼ばれる吸血鬼がいた。
その吸血鬼は偉大なる魔術の力であらゆる種族を支配し、|霊長の王《ロード》と呼ばれた。
その『白の真祖』であるファーティマは宿敵である『黒の真祖』を壮絶な一騎打ちの末、ついに打倒したが……
無傷とは言わず、長い眠りにつくことになった。
そして目覚めた世界はファーティマが生きていた時代とは様変わりしていた。
|霊長の王《ロード》などという重荷を捨てたファーティマは意気揚々と、世界に旅立っていた。
だがファーティマは知らない。
自分が寝ていた時間が四千年であること。
魔術の技術が四千年前と比べて、非常に稚拙なものになってしまっていること。
そして吸血鬼が迫害対象になっていることに。