俺――陵蘭恭弥は日々、百合の尊さを感じて生きる一般的な高校生。
例えばベンチで並んで座り、アイスを分け合う女子高生を見ては尊さを感じ、電車の中、腕を絡めて座るOLのお姉さんを影から見つめ、勇気を貰う、そんな日々だ。
しかしある日、そんなささやかな日常が崩れ去った。突如として隕石が、日本に落ちてきたのだ。
そうしてあの日、俺は親友二人と共に死んだ。
俺は願った。次に生まれ変わるなら、百合っぷるの側で二人を見守る観葉植物になりたい! と。
しかしその願いは叶わなかった。
俺が転生した場所は、千年帝国と共和国が三百年にも渡り戦争を続けている世界だった。
百合など、どこを見渡しても居ない、血なまぐさい世界だ。
無いのなら、俺が百合を作り上げようと思った。
少なくとも下級貴族の家に生まれた俺は、ある程度一般的な生活が出来るはずだ。それを基盤に、百合を探す冒険の旅に出ようと思ったのだ。
しかし父親の死で、全ての予定が狂う。一気に人生がハードモードへと突入した。
こうして軍に半ば強制的に入れられた俺は、なんとか軍務を全うして社会生活へ戻ろうと誓う。そんな中で、共に死んだ親友に出会ったのだ。
けれど――彼等はなんと美女へと変化を遂げていた。
俺はここで、ぴーんときた。この元男の親友二人を、くっつければいいんじゃね? と。
これこそ、百合っぷるに他ならないんじゃね? と。
だがしかし、そうそう計画は上手くいかない。
二人は絶世の美女となり過ぎていて、国の上級貴族や皇子から求婚される始末。これを断る為には、男の俺が絶対的な権力を持つ必要がある。
こうして俺は百合っぷる誕生の為、全知全能を尽くして政戦両略を極め、謀略の中を生き抜く決意をする……かもしれないのだった。