冒険者を目指すエルネストは、ギルドの規約により一年間研修として先輩パーティ【ファング】の一員となって馬車馬のように働いた。 研修と言うことで依頼報酬も別けてもらえず、冒険先で拾ったクズ魔石や素材を売ることで生活をしていたエルネストだったが、一年経って研修が終わったその日、ギルドで本来なら研修中でも報酬はもらえるはずだと教えられる。 それを知ったエルネストがファングのリーダーであるダリオに詰め寄ると、逆にダリオから研修料を請求されてしまう。 もちろんそんなものは払えないと突っぱねたエルネストだったが、その夜彼の家に無理やり金目のものを奪おうとファングの四人がやってきた。 しかし極貧生活をしていた彼の家にそんなものがあるわけはなく、大事にしていた親の形見である女神像を破壊された上に四日後までに金を作れと脅迫までされてしまった。 「お前が俺に逆らうとか『十年早い』んだよ!」 ダリオの残した言葉を聞きながら無力感に意識を失った彼の前に女神ルティスが現れる。 彼女は十年間ルティスの女神像に願いを捧げた礼としてスキル【十年早い】をエルネストに授けに来たらしい。 そのスキルは、どんな技術でも十年間の修行で身につけさせることが出来るスキルだという。 しかも本来なら十年かかる修行が、なんと現実世界では三日で完了するというのだ。 さらに修行をしてくれるのは天界の神様たちとくればエルネストに迷う余地は無い。 四日後、ダリオたちが集金にやってくる前にダリオを倒す力を得るため、エルネストは十年間の地獄のような修行を開始したのだった。