【小学館ファンタジーノベル&コミック大賞、大賞受賞作品】
「おいジャックロード。お前は私の学友候補なだけで伯爵家の三男だろ。なんで侯爵家のご令嬢の事をいじめているんだ。すごい度胸だな。」
優秀で歯に衣着せぬ言動も将来大物になると評判の第二王子のこの発言で、この国1番の広さを誇る王宮のダンスホールは完全なる静寂に包まれた。
それまで少しくらい率直すぎる発言をしても、まだ子供であるとか、王族なのだからこのくらいハッキリと発言出来た方が良い・・・・などとむしろ好意的に捉えられていた第二王子の評判が『優秀だけどさすがに空気読めなすぎ』に変化した瞬間である。
そして、その日が私と第二王子の初対面であり、いじめられていた侯爵家のご令嬢と言うのが何を隠そうこの私である。
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どうもこんにちは。
私はリラリナ王国のレノックス侯爵家のナタリーと申します。
なんの変哲もない貴族令嬢ですが、1つだけ人と違うのは、日本と言う国で60歳まで過ごした前世の記憶を持っているところでしょうか。
9歳の時に意地悪な継母と義姉(とお父様)に苛め抜かれているところを助けられて以来、空気読まない天使と評判の第二王子、ミハイル様のご学友をしております。
そんな王子がある日突然またとんでもない事をいいはじめて・・・・
お互いにお互いを空気読めないと思っている、幼馴染の2人のお話し。