誰もが【職業】を授かる世界で、ロイに授けられた職業は【荷物持ち】だった。
冒険者には向かない職業を授けられたロイだったが、それでも幼馴染のマルテを守る為に、彼女と一緒に冒険者パーティーに所属していた。
戦闘では役に立たないけれど、パーティーの為に自分に出来る事をひたすらこなしていく日々。
そんなある日、彼は幼馴染の彼女がパーティーリーダーの部屋を夜に訪ねているのを目撃してしまう。
翌朝パーティーの集合場所に赴くと、その場でコストカットの為と言われパーティーを追放されてしまう。
そのうえ、幼馴染にまで冷たい言葉をかけられて……。
失意のロイは、宿屋の自室で一冊の本を手に取る。
かつて活躍した冒険者の人生を綴った物語。
その物語は語る。
かつてその冒険者は、エルフの国へ赴き、万能の精霊使いとなたっと。
かつての誓いを守る為。
彼女を守る為の力を得る為、彼は失意の中から立ち上がる。
そして彼は歩きだす。
大いなる物語の、その小さな一歩を……。