「いいことなんて、何一つない人生だった」
前世で居場所を得られないまま若くして亡くなり異世界へと転生してきた少女、アーシャ。
二度目の人生こそはと思うも、日々の生活に追われ、転生前の様々な知識と価値観はむしろ足かせですらあり、ついには魔女扱いされた挙句、魔王の生贄として孤島に送られてしまう。
もう、いっそ一思いに殺して欲しい。
そう、思っていた。
だが、魔王の国は想像とはまるで違っていて、ぎこちなくも暖かく彼女を迎え入れ、その知識と経験を買われたアーシャは、薬師として働くことになる。
生贄となった少女達が生きながらえる仮初の街、シュツラムブルグ唯一の薬師として。
働き始めたアーシャは様々な人々の協力のもと、その知識を活かしていく。
彼女がその知識を使って最初に手にしたのは「塩化ナトリウム」。つまり、食塩。
そこから派生する様々な発明は島を大きく動かし、その度に人々の信頼を獲得して、ついには女神とまで呼ばれる始末。
「どうしてこうなった!?」
彼女の悲鳴は誰にも顧みられることなく、むしろ何を言ってるんだ今更といった目でしか見られない。
そしてまた彼女を中心として、彼女の感情だけを置き去りに動いていく物語。
中学卒業程度の知識があるとより一層面白い、という意味でR-15!
チートも何もない彼女の武器は、知恵と縁(えにし)と心意気!
コメディタッチでお送りする異世界ファンタジー、ここに開幕!
※旧題「転生したのにチートも何もなかった挙句に魔王への生贄にされたんですが、そのおかげでなんだか人生良い方向に逆転しちゃいそうです!?」の連載版になります。