【USBの人へ】
ある日、授業で使用するパソコンのデスクトップに、一つのフォルダが作られていた。
友達から『製図狂い』と呼ばれる琴葉は、服作りを愛する高校二年生だ。
放課後に忘れ物のUSBメモリを見つけたことで、顔も知らない男子生徒とデスクトップ上の文通をするようになる。
製図好きとして同志になった彼は、学校の有名人、梅村蒼士だった。
見た目の良さから人気の高い蒼士。彼は中学時代に起こった出来事が原因で、学校では女子を遠ざけていた。それを知った琴葉は言う。
「じゃあ梅村くんとわたしが話すのは、知り合いがいない場所限定にすればいいってことだね」
こうして二人は学校で『他人設定』を始めたのだが、蒼士の距離感がおかしくてーー
(どうしよう。梅村くんって、とても可愛い)
『好きに一途なテンパり女』と『ツボを見つけた訳あり女子断絶男』が、こっそり出会い、こっそり親しくなり、こっそりに満足できなくなるお話。
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