教会の影響が強い王都では、魔女は堕落の象徴とされていて、発見次第処刑される。
王都にほど近いエヴァルトでも同様に、魔女の話題は禁忌とされていた。
魔女に関わった者も同罪とされ、処刑の対象になるとも聞く。
町一番の職人でも直せないと突き返された、宝物のオルゴール。
常夜の森の魔女は、どんなものでも直してしまう。
その噂だけを頼りに、ネルケは光を拒む常闇の森へと足を踏み入れるのだった。
壊れたオルゴールが繋いだ、ひとすじの縁。
そこから始まる、純白の魔女と貴族の物語。
閉じた世界が動くとき、さび付いた歴史が緩やかに軋み始める。