水崎陽太の高校生活、最初の三ヵ月は正に天国だった。
中学時代は運動も勉強も中途半端で目立つことのなかった水崎だったが、高校生になった初日から積極的に話しかけていた甲斐もあり、中学とは見違えるほどに友達も増えて人生初となる彼女も作ることに成功した。
と浮かれていたのも束の間、水崎はそこそこ仲が良いと思っていた友達に彼女をあっさりと寝取られた。しかもその友達は言わば、クラスの中心人物で水崎が彼女を寝取っていたという悪評を広められてしまう。
それから二年生になり、水崎の立場は中学の時よりも悪化していた。友達もおらず、学校で会話することが珍しいほど、なんとか学校には通うものの存在感は皆無となっていた。
二年生になって一週間、水崎はとある一人の女の子にずっと話しかけられた。その女の子というのが、隣の席に座っている地味な女の子。
言動もおかしい、おそらく中二病なのだろう。
「私と一緒に復讐、してみない?」
彼女はまるで挨拶するようなテンションでそう言った。