友人に彼女ができたことは喜ばしいことではあると思う。
しかしながら同時に、以前よりも付き合いが悪くなったあいつを見て俺はあることを思っていた。
「彼女が欲しい!」
楽しそうにしているあいつが、俺は羨ましかったのだ。
だから誰もいない見晴らしのいい丘で、そんなことを叫んでしまった。
それは本来であれば、誰にも聞かれることがない願望であった。しかしそれを一人の女性が聞いていたのである。
「それなら、私が君の彼女になってあげようか?」
「……え?」
俺の嘆きを聞いていたのは、黒宮夜空先輩だった。
学校一の美少女といわれて生徒会長でもある彼女は、俺の言葉に対して驚くべき返答をしてきたのである。
こうして俺は、意外な形で望みを叶えられることになった。彼女が欲しいと叫んだら、何故か学校一の美少女と付き合うことになったのである。
※この作品は「カクヨム」にも掲載しています。
※一部キャラクターの名前を変更しました。宇都宮→宇原