そのとき、竜に育てられた《少女》は竜殺しとなった。すべてはただ、竜にたいする愛ゆえに。
かつてひとは竜とともにあった。人類は竜を信仰し、竜の恵みを享けながら穏やかに暮らしていたが、際限ない欲望により《戦争》が勃発した。竜は争いを嘆き、壊れていった。こころの壊れた竜は気候を乱し、暴れまわる。
斯くして竜とひとは、別れた。
殺せるはずのない竜を殺しながら旅をする娘《メリュ》は、謎の青年《ラグス》と出逢い、行動をともにすることになる。
何故、彼女は微笑みながら、竜を殺すのか。
美しき地獄に祈りの声はなく、ただ憐れみの賛歌が響きわたる……これは英雄にも勇者にも竜殺しの聖女にもなれない、ひとりの少女の、愛と殺意の旅路を綴った幻想譚(ダークファンタジー)である。
*注意書き
この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・出来事とはいっさい関係がありません。ご了承ください。
R-15程度の残酷描写があります。
*タイトル変更しました
「あわれ少女は竜殺し ~かつては神と称えられた竜が《不死なる禍》になりさがったとき、竜を愛し竜に愛された最強の少女は、葬送の旅をはじめました。」⇒「竜の黄昏と葬槍の聖女 ~かつて神と称えられた竜たちに愛と死を捧ぐ」
*お知らせ
第26回電撃小説大賞最終候補作《死者殺しのメメント・モリア》《後宮食医の薬膳帖》 メディアワークス文庫より好評刊行中 です!