王女様が逃げた。嘘か本当かもわからない噂を聞いたとき、ライラは城勤めの人は大変だなと同情したことを覚えている――――。ライラは太陽の昇らない『夜の国』とも呼ばれるニクスで魔力排出動植物生産業――星の花屋を営んでいた。両親の顔を知らず、孤独に育ったライラには隠しておきたい秘密がある。その秘密を暴いた人は瞳の奥に太陽を宿していた。彼を通じて、自分の扱いが理不尽だということと、国が隠してきた不都合な真実を知ったライラは、ようやく覚悟を決める。この国が私をいらないというのなら、私だってこんな国はいらない。だったら、逃げてしまおう。たとえ私がいなくなったとしても、国が滅びるわけがない。
※完結に向けてタイトル変えました
※鬱々とした表現あります。人によっては地雷があるかもしれません。ご注意ください。