あるとき、地球がこう思った。
「そうだ、人間を滅ぼそう」
世界人類全員の前に一つづつ現れた『異世界への扉』。それはその人が思い描く理想の世界だった。
ある者は誘惑に負け、別の者は現実に絶望し、またある者はいなくなった隣人や恋人の面影を求めて、次々とその扉へ身を投げる。
まるでエサの誘惑に負けて、ゴキブリホイホイに入って行く虫のように。
そして、そこに入った者は、もう二度と現実世界に戻る事は出来ない。
世界は、人類という存在を急速に失いつつあった。自制と理性によって誘惑を振り切った人々も、壊れた社会で生きていくことが出来ずに、やがてその中に身を投じてしまう。
人間のほぼ居なくなったこの世界で、ある中年男性がひとりの少女と、そして少年と出会う。
末期世界に生きる者達が、人の居なくなった世界で何を見るのか、理想の生き方と言うのは何かというのを問う、謎と奇跡に満ちたファンタジーストーリー。
※本作はハーメルン、カクヨムにも投稿しています。