転生と回帰を経た皇女ヴェリアは、父である皇帝の暴走により国が滅び、弟は自分を庇って凶刃に倒れ、自らも敗戦国の皇族として処刑される未来を知った。
皇国を救うため、そして最愛の弟ノクスを救うため、ヴェリアは密かに政治に介入し、反逆を画策するのだが――その計画をノクスに知られて断罪されてしまう。
だが、それもまた、ノクスの姉を思うがゆえの行動だった。
彼はヴェリアを犠牲に、自分が生き残ることをよしとしなかったのだ。
「僕はずっと姉上に護られてきた。だから、今度は僕が姉様を守る番だ」
「――違う、今度は私が貴方を守る番なのよ!」
ヴェリアの悲痛な叫びはけれど、覚悟を決めたノクスに届かない。そうしてヴェリアは敵国に送られることになった。裏取引を終え、安全が保証された敵国へ。
はからずも、ヴェリアは破滅の運命から逃れることになる。今世でも、弟の犠牲のうえに生き残るのかとうつむきそうになるが、ヴェリアは諦めなかった。
運命に抗うそのさきで、ヴェリアは敵国の王太子と運命の出会いを果たす。王太子は妹を救うためにヴェリアの力が必要で、ヴェリアは弟を救うために王太子の力が必要だった。
彼らは契約を結び、それぞれの目的を果たすために奔走を続ける。互いの利害で結ばれたはずの契約は、やがて運命を変える絆へと変わっていく。
これは、愛と反逆のレコンキスタ。人質皇女の逆転劇がいま、幕を開ける。
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