「お前との婚約は今日限りで破棄とする」婚約者ダリオンの言葉に、フィオラは嘆息する。
ダリオンの隣にいるのは義妹のミレッラで、ふたりはフィオラのあらぬ罪を浪々と語り続けた。
フィオラの誕生日から十か月後にあるミレッラの卒業式までの期間をすでに四回も繰り返している。フィオラは死に戻りにうんざりし、無実を訴え、ふたりの不貞を非難してベランダから身を投げた。戻るのは十か月前か、それとも婚約破棄直前の数分前――そう思っていたのに目覚めたのは見知らぬ部屋だった。気を失っていたのは二日間で、回帰はしていなかった。
フィオラを助けたのは、三度目の人生で知り合ったイースラン。彼の風魔法で助けられ、フィオラの五回目の人生が始まる。
ベランダから飛び降りたことが周りに与えた衝撃は大きく、妹を虐めたと非難されていたフィオラは同情され皆に温かく迎えられる。
さらには薬学研究室にいたイースランが、フィオラのいる植物研究室に転籍してきて……。
全ての人生においていつも起きるのは、魔獣生態研究室からのフェンリルの脱走。多くの犠牲者が出る脱走を防ぎつつ、回帰の原因を探るフィオラの前に現れたのは、ピンク髪の男爵令嬢だった。
誤字脱字報告、いつもありがとうございます。
何度見直しても誤字が無くならないので、あれっ、と思うところがあれば想像力を駆使して読み進めていただけると嬉しいです。