廃墟と化した映画館に、四匹の動物が住み着いていた。
臆病なウサギ、迎えを待ち続けるイヌ、イヌと喧嘩ばかりのサル、言葉を喋らないバク。
シアターを寝床にして、ポップコーンをつまみ、ニンゲンが滅びた世界で彼らは生き延びていた。
彼らは魔法にかかっていて、言葉を話すことが出来るという。
彼らに魔法をかけた魔法使いはこう言い残した。
「ニンゲンが現れたとき、君達にかかっている魔法は解かれる——そのニンゲンに、導いてもらうのよ。君達の幸福のために」
その予言の通りに、ある日ニンゲンの男子高校生、樹が現れる。
彼はいなくなった『早織姉ちゃん』を探して、ここに迷い込んだのだ。
樹は、魔法使いの予言通り、映画館にかけられた魔法を解いてしまう。