力こそ正義。そんな龍人族の学園に通う麒翔は、龍人と人間のハーフという生い立ちから、龍人の力を十全に発揮することができず、学園では落第すれすれの落ちこぼれであった。蔑まれ、日陰の日々を送る麒翔であったが、そんな彼にも一つだけ剣術という非凡な才能があった。
しかし、麒翔はその才能をひけらかすことなく隠している。実力とは、必要な時が来た時に、必要な分だけ発揮すればいい。それが彼の持論だったから。
そんなある日、上流階級の令息・令嬢のみ通うことの許された学園、通称:中央から"ある目的のため"一人の少女がやって来た。名を黒陽。女に無関心な麒翔をして"絶世の美女"と評される彼女は、首席という肩書を持つ才色兼備な公主様だった。公主様は観察眼も相当に優れているようで、麒翔の実力を一目で見抜く。
そして公主様は、皇族独特の価値観を有しており、庶民の麒翔には何を考えているのか全く理解が及ばない。言い掛かりとしか思えない暴論まで叩きつけられる始末。そして挙句の果てに――
「麒翔。私と決闘しろ」
勝てば何でも言うことを聞く。という条件の元、強制的に生き死にの決闘に巻き込まれるのだった。