植物の声を聞く太陽の乙女と、動物の声を聞く月の乙女に守られた世界。
乙女たちは神殿に集められ、大切に育まれていた。
神殿には乙女を守る聖騎士がいた。
乙女は十七になると、自分だけの騎士を選び、騎士は乙女を生涯の主とする。
狭き門を突破し聖騎士になったイーライは思う。
「今日も俺が一番格好いい」
一方、緑溢れる国ツェーンには深い森があった。
森の中で一人暮らす少女の名はミア。
小さな家で薬草を採り、動物を狩り、生計をたてている。
「今日も静かで清々しい」
あるとき、イーライに神殿長直々の命が下される。
「ツェーンの森を調べて来てください」と。