存在しない筈の208番目の元素『エーテリウム』の発見と、人の願いを擬似的に再現したAIによって、世界には魔法という奇蹟がばら蒔かれた。
『レベル』や『ステータス』という概念が再設定され、獣や竜と言った異形が世界各地に現れ猛威を振るう。
人々は新たな脅威と未知の力を前にして辛くも領土を守り抜き、人の世界に久しく秩序が訪れる。
名門『月詠』家の長男『月詠ハガネ』は、同級生と共に小遣い稼ぎのために向かった獣狩りの際に、奇妙な現象に見舞われる。
『敵を倒せば倒すほどに総獲得経験値が減少する』という異常な事態。
積み上げてきたレベルとステータスは呆気なく1に近付いていく。
段々と弱くなる自分と、相対的に強くなる獣の群れ。
レベルが1を下回った時、死を覚悟していたハガネに狂った数値が設定される。
体力:0/0、魔力:0/0
生涯使うことは無いだろうと踏んでいた【異能】は突如機能し始め、『名家の失敗作』とそしられていたハガネの力は全てを断つ絶無の刃に変わっていた。
その力で気ままに超高難度の『ダンジョン』を探索したり、国家間の闘争を引っ掻き回したり、あるいは人類の敵である『竜』の味方をしたり。
これはハガネが笑って死ぬための物語。
※11/16追記:一章完結しました。世界観設定、時事年表などを章間に入れたので、そちらから読んでいただいても大丈夫です。