うちのお嬢はひどく変わっています。
令嬢なのに格闘術を学びたがり、
暇さえあれば市井に降りて、有能な人材を探して雇ったり、
あまつさえ、前世の知識なんてものも持っていると豪語する始末……。
とはいえ、相手はお嬢様。いくら変わっているとはいえ、守って差し上げるのが執事の務めですので。
他国の元帥令息をぶんなぐったお嬢と共に逃走し、
何やらお嬢を尾行する怪しげな影を捕まえ、
お嬢を嫌っている王子殿下との仲を取り持ち、
あげく襲ってきたモンスターをお嬢と共に討ち取り……。
これ執事の仕事じゃないよね? と、思う毎日。
とはいえ、そんなお嬢を見限れない私や旦那様も大概だとは思いますが……。
というわけで、私は今日も今日とてお嬢のお守。
お嬢を狙う不逞の輩は、たとえ誰であろうと許しませんとも。
え? 守る必要があるのか? というかほっといてもよくないって? それは言わないお約束ですよ……。