それは、私の愛する娘が十歳になったばかりのことだった。
流行病で一週間寝込んだ娘は、目が覚めた時、こう叫んだ。
「──大変、お母様!!私、悪役令嬢のようです!!」
娘は、この世界がとある小説の世界であるという。
そして、その物語に出てくる主人公のヒロインを恋敵としてみなして苛め、呪詛の能力を使える母親を利用してそのヒロインを極限まで追い詰めるのがリリールーという、悪役令嬢であるらしい。
私の可愛い娘、リリールー。
いつか恋する時がくれば、私は全力で応援したくなるだろう。けれども、そこに私自身や私の能力を介入させる気は一切ない。
──愛する娘であるからこそ、呪詛なんかに頼らせてはいけないのだ。
娘には話していないが、私はずっと、それで後悔をし続けているのだから……
※他サイトからの転載です。
※リクエストにお応えして、娘視点とヒーロー視点執筆致しました。シリーズからご覧頂けます。
第2回アイリス異世界ファンタジー大賞にて審査員特別賞をいただきました。
応援下さった読者様に感謝申し上げます。
一迅社『アイリスNEO』
【ノベルアンソロジー◆溺愛編Ⅱ 脇役令嬢なのに溺愛包囲網に囚われています】ノベル掲載
一迅社『ZERO-SUMコミックス』
【お飾り妻は冷酷旦那様と離縁したい!~実は溺愛してたなんて知りません~アンソロジーコミック 第3巻】コミカライズ掲載