大陸最強の殺し屋集団<三奪>。
そこの中堅構成員であった『万力』は、運良く組織壊滅直後に現場に戻る事になり、組織の資産をそれなりに入手する。
人一人が生きて行くには十分すぎるお金と、初めて得る自由。
冒険者ギルドに併設された酒場で角煮を食べ、美味くは無いが工夫された味に感心し、各地の美味いものを食べて回ろうと決めたカイナこと元『万力』であったが、その前に元<三奪>の人間としてすべきことがあった。
『殺しは良、報復は善』
組織の暗黙の了解であったそれを成す為に、カイナは頭領を殺し組織を崩壊させた勇者に接触し、取引を持ちかける。
内容は、<三奪>の裏切り者の皆殺し。対価は<三奪>が蓄えていた資金。
元より黒幕を潰すつもりだった勇者は快くその提案にのり、<三奪>の残党狩りに協力。カイナは無事残党のトップを殺し、勇者は残党狩りに伴い膨大な資金を手に入れる。
カイナとの出会いにより十分な資金と情報を得る事が出来た勇者は、珍しく積極的に動き、第一王子を擁立し王を含めた多くの貴族を逮捕、処刑する事となる。
一人の女性がその大捕物に大きな貢献を果たしたという詩が吟遊詩人達によって歌われるようになる。