突如として謎のウイルスが蔓延し荒廃した日本。感染者は瞬く間に死に至るが適合する人間も現れた。暴食のグラトニー、睡魔のスリーパー、そして性欲のラスター。適合者はそう呼ばれた。
運び屋である賀堂は依頼を受けた。それは軍事国家東京から研究国家福岡へ少女を運ぶことだった。少女の名前は沙耶。前人未到の人工的に適合者を作り上げる実験体に選ばれたのだ。
一度も外の世界に出たことのない沙耶は期待や夢を膨らませて旅に出る。恐らく実験は失敗するだろう。研究の礎になることを理解して、死んでしまうだろうと理解して今日も生きていく。
不愛想でお人よしの賀堂と思春期真っ盛りの沙耶の旅物語。
――賀堂さん。その時は私を殺してください
――あぁ、約束しよう
※カクヨムでも連載しています