多様な種族が混在するグレミィル半島。
南部で暮らす純人種達―――『人の民』
北部に棲息する亜人種達―――『森の民』
二つに大別される領民達の統治を継いだハーフエルフ姉弟の対立劇が幕を開ける。
【新章突入! 第2章の開幕です】
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旧き時代より『人の民』と『森の民』は、互いに生活圏を隔てて反目し続けてきたが
『英雄ベルナルド』が半島を統治する大領主に封じられたことを皮切りとして徐々に諍いは静まり、
二つの民は融和への道を歩み出そうとし始めた。
然れど、英雄は焼却された。
冬の居城。多くの者にとっては突然に。謎と呪詛を撒き散らす怪死を以て、歯車が狂い出す。
英雄ベルナルドは、ハイエルフの妻との間に二人の子供を設けていた。
即ち、英雄とその妻が成した『人の民』と『森の民』による混血の双生児。
双子の姉、ノイシュリーベは父の持つ高潔な精神と大領主の座、そして母に似た脆弱な身体と莫大なる魔力を継いだ。
双子の弟、サダューインは父に似た優れた身体と脆弱な魔力、そして己の手を汚してでも二つの民の融和を願う母の理念を継いだ。
英雄亡き後の時代を託された双子達は領民達を護る為に、互いが信じる理念を懐いて奔走する。
足元で燻る対立の火種。蔓延する呪詛。大国の思惑が絡み合い、やがて双子の絆を蝕み始めた頃、
一人の女性の亡命を受け入れることにより大きく物語は動き出す。
歪に絡み合った因縁と恩讐。半島が抱える濁った翡翠の開花を以て、歯車は更に狂い尽くす。
其は後戻りの利かぬ宿痾の清算。
刻曜の翠擲<グラナグラム>は誰が為に――