「目が見えなくても、俺は君の隣に立ちたい」
全盲者の少年、ケルン・ツィリンダーは、生まれつき目が見えなかった。
非力で学が無くて、剣も魔法も、なにも持っていない。
そんな彼の唯一の誇りは、彼を愛してくれている両親だけだった。
盲者のケルンはある日、父が創る魔法具目当ての盗賊に攫われてしまう。
人質として攫われた盗賊の根城で、ケルンは不思議な少女の声を聞いた。
「私の隣に立ちたいなら、もっと強くなりなさい、賢くなりなさい。弱者など、このリセリルカには不要よ」
金色の髪を持つ少女リセリルカとの出会いが、彼の運命を変えていく。
出会いから一年、魔法の研究者である母と剣術を嗜む父に教えを請い、ケルンは努力した。
『空間魔法』と剣術を引っ提げて、ケルンはリセリルカのもとへと向かう。
彼女の隣を歩みたいという憧憬を追いかけて。
これは、盲者と王女の建国記だ。