「お前のジョブは『蟲使い』だ」
ジョブ。それは魂の形。その宣告により、人生が決まると言っても過言ではない存在。
蟲使いという戦う事も魔法を使う事もできない役立たずのジョブを宣言されたエリックは、他の冒険者仲間に見下されながらそれでも誰かを助ける冒険者として生きようとしていた。
そんなある日、エリックは傷ついた蜘蛛を助ける。
それは神々に嫌われた魔物、アラクネだった。神に疎まれたアラクネは神官の術では癒すことが出来ず、蟲使いのエリックの癒しが傷ついた彼女を癒したのだ。
癒しの術と少しキョドりながらも頑張るエリックにそのアラクネ――クーは興味を示してついていく。エリックはからかうようにしてくるクーに戸惑いながらも、蟲使いのスキルを駆使して冒険者として誰かを助けようと頑張るのであった。
そしてそんなエリックに魅かれるように、甲虫装甲を纏ったエルフやフンコロガシの元太陽神と言った女性達が集う。
エリック本人は全く戦えないけど、強い信念と頼れる彼女達の力で様々な事件を解決していくのであった。
この物語は、戦えない蟲使いの少年が冒険者として何とか頑張るだけのお話である。レアスキル持ちは神の加護で世間から優遇され、蟲使いは世間から迫害され冷たい目で見られる。その運命は覆らない。それでも傍にいてくれる人がいる限り、その歩みは止まらない。
英雄にも魔王にもならない無名の少年が、無名のまま多くの人々を助ける話――