原初の巨人より生まれた神々は巨人の体から大陸を作り多くの生命を創造した。一時は繁栄を謳歌したが神々は些細な問題から争い、衰えてこの世界を人間に託して去った。
それから五千年。
大陸の西に優れた技術力と財力を持つ地域があった。
土地が狭く、険しく、多くの人口を養えず、人類を支配する帝国によって五千年間搾取され続けていた。
それでも尚、この土地に眠る黄金の魅力に取りつかれて世界中から人が集まっている。多くの者は自分がその黄金を運ぶ道を舗装する奴隷に過ぎなかったと気付き、夢は断たれる。
その都市の奥深くにこの国の黄金を全て積み上げても買えぬほどの豪華な宮殿で暮らす娘がいた。天女と見紛うばかりの美貌を持つ娘は誰も寄せ付けずたった一人で寂しく暮らし、時を待つ。
一方、この国の王子は帝国と平民の革命熱に怯えながら過ごし、緊縮財政を強いられている時に謎の娘と宮殿に遭遇し憤慨するのだった。
彼らの出会いが西の果ての国から世界を揺り動かす。
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同世界観の長編作品が他に何作かあります。
本作は1433年頃からの独立した短編です。
メインキャラクター、役割は共通しておらず各作品で世界観の説明はしていますので前提知識は必要ありません。
『誓約の騎士と霧の女王』1398年~1420年 ★完結
『荒くれ騎士の嘆き歌』1425年~1433年 ★完結
『森の娘と最後の騎士1435年~1453年 ★完結
『天に二日無し』1448年~ ★完結