ブックマーク一覧 pecoさん 全15件
連載 完結済 9エピソード
 リーファは、自ら望んで後宮に輿入れした。  かつて自身が命を救われた稀代の賢帝に、心を奪われていたから。  しかし後宮に彼の方は来ない。  醜姿の皇帝と呼ばれ、影で嘲笑されていることを……後宮の美女たちが抱かれたくないと思っていることを、おそらくは察しているから。  だからリーファは、後宮に来た。  貴方を慕う者はここにいるのだと、毎日文を送り続ける。  正妃にはなれずとも、あの優しい皇帝の愛妾くらいにはなれると信じて。  そして後宮の美女たちへ、彼の内面の魅力を伝えるのだ。  
作品情報
異世界[恋愛]
最終更新日:2021年01月30日
連載 完結済 26エピソード
『倫敦大使館付武官、里中勇治郎』  1888年、倫敦。  倫敦大使館付武官として派遣された海軍少尉、里中勇治郎は、本国の密命を受けていた。  彼には裏の顔がある。  日本國警視局降魔課ーーー里中は、明治の時を以て歴史の表より消えた陰陽寮の命脈を継ぐ、怪異国防を担う者の一人である。  親日家であるイギリスの名家、エドワース子爵家を襲う霊障を払えと命じられて出向した彼は、エドワース家の奥方夫人を襲う霊障と切り裂き魔事件の繋がりを疑い、切り裂き魔事件を追っていた。  その中で彼は、エドワース家の美しい一人娘、アリス・エドワースに心を惹かれる。  これは堅物の日本軍人が、イギリスの子爵令嬢の為に奔走した時の記録である。 ※※※ 『《七殺》の久遠〜日本国警視庁降魔課の男〜』  ※ただし普段は専業主夫。  天野久遠は、無精髭に寝癖頭のぼんやりした男だ。  稼ぎ手の嫁様には、失敗しては怒られてばかりで、ご近所さんからはヒモと陰口を叩かれている。  それでも生まれた娘は可愛く、彼女のお世話を頑張るものの、子どもを育てるっていうのははたから見るより色々やらなきゃならない事が多い。  日々の食事や着替えの世話から、予防接種や突発の熱。  様々な出来事に振り回されて失敗ばかりの彼には、しかし裏の顔がある。  表に出ない公的機関、日本国警察警視庁降魔課所属の凄腕巡査―――《七殺》の久遠。  降魔課黎明期に活躍した伝説の男、里中勇治郎の血を継ぐ彼は、密命を遂行する傍ら、要請あれば人に害なす怪異の収束に赴く。  でも、夜出掛ければ、夜遊び扱い。  子どもの検診の帰りに寄り道すれば、不審者扱い。  それでもめげない久遠は、今日も嫁と娘を愛でながら、ヘラヘラと生きて行くのである。  ―――笑顔の裏に、全ての闇を覆い隠して。
作品情報
推理[文芸] 残酷な描写あり
最終更新日:2018年07月10日
連載 完結済 43エピソード
 魔物学者のルアドは、冒険者の『副団長』によって冒険者パーティーを追放された。  団長のいない隙に。  冒険に同行しているのに、魔物を退治するわけでもなく、冒険者の裏方を手伝うわけでもなく、ただいるだけで役に立っていない、という理由で。  だが、副団長は知らなかった……いや、団長から聞いて知っていても、重要だと思っていなかったのだろう。  ルアドが、大規模冒険者団を運営する資金源になるための希少で価値の高い魔物を見つけ、その生息地に団長を案内していたのに。  追放されたルアドは、たまたま助けた魔物使いの素質がある少女に案内された村で〝魔害〟に対処することになった。  が、土地が枯れた原因は、村の周りに大量発生したスライムを退治するために雇った冒険者が『塩』を撒いたことだと判明する。 「興味深いねー。逆に魔物の特性で、塩害に覆われた土地を元に戻せるか。ボクと一緒にやってみない?」  これは、少々変わり者の魔物学者が村を助けたことで受け入れられて、魔物使いの卵である少女と共にフィールドワークして魔物の生態を観察したり、手なづけた魔物を繁殖させて魔物牧場を作ってみたり。  そういう、楽しい魔物研究生活を送る話だ。    ちなみに、副団長の勢力は、団長に見捨てられてキノコの魔物に苗床にされて、マタンゴになりました。  
作品情報
ハイファンタジー[ファンタジー]
最終更新日:2021年06月18日
連載 完結済 65エピソード
 勇者を倒し、世界征服を成し遂げた魔王軍。  魔王政府を発足し世界を支配している彼らの中に、四天王最弱の名をほしいままにしている男がいた。  イスト・ヌール。  しかし彼こそは、勇者の兄であり、勇者を倒した張本人であり、また魔王軍四天王と呼ばれる者たちの才能を見出して開花させた魔王軍最強のスカウトマンだった。  彼は、才能のある者が放つ香りを、嗅ぎ分けることが出来たのである。  勇者と約束した平和な世界。  それを作り出した彼は今日も仕事と称して辺境に赴き、平穏な日常を満喫する……つもりだったが。  記憶喪失の治癒士の少女を拾ったことから、厄介ごとに巻き込まれていく。  迷子探しから魔獣退治まで、様々に起こる出来事を解決していくうちに、勇者の墓がある辺境の村に集まり始める曲者ぞろいの変な連中。  戦うことにしか興味がない修羅ウサギの剣士や、冒険者を夢見る少年、行方不明の主君を探す双子の少女たち。  彼らの持ってきた事件は、やがて記憶喪失の少女やイストの過去と関わり始め、世界を動乱で包み込む大事件へと発展していく。    これは平和を望んで魔王軍を作り上げた、心優しい〝四天王最弱の男〟の物語。  
作品情報
ハイファンタジー[ファンタジー]
最終更新日:2020年08月21日
連載 完結済 82エピソード
「これから冒険に旅立つから、あなたをパーティーに加えてあげるわ! 感謝しなさいよね!」  冒険者養成学校の卒業式で『勇者の才能がある』と天から告げられた幼馴染の少女は言った。    が。 「あ、ごめん。俺、魔王軍に入るから」 「……え?」  今まで彼女の命令に特に逆らったこともなかったが、今回だけは別れを告げて、俺は新天地へと旅立つことにしていた。  魔王のスカウトを受けていたからだ。  なぜかそれに納得しない彼女は決闘を挑んでくるが、今まで手加減してやっていたのであっさり返り討ちにした。  そして魔王の元へ赴き、魔族に混じって魔剣争奪試験を受ける。  その際、勝ち残った俺の適性が〝修羅〟と呼ばれる最上級の剣士職であることが発覚する。 「キミは頭がキレて、かつ才能がある。〝闇の勇者〟に相応しい」  そう魔王に言われて魔剣を授けられた俺は、とある武術大会に参加する資格を得るために冒険に旅立つことになった。 「なんか妙な流れになったな」  俺の目的は、魔王軍の中で成り上がり……幼馴染みの少女のために、魔王を殺すことだったのだが。  だってアイツ、負けず嫌いだから魔王に負けたら絶対泣くし。  まぁ、今のままでは俺も多分魔王には勝てないので、強くなる時間があるのは好都合。  魔剣争奪会場で知り合った三人の魔族とパーティーを組んだ俺は『勇者の少女がトラブルを起こした』という連絡を受けて、一度元の国に戻った。  そこで、魔剣争奪に負けたことを根に持った別の参加者が追いかけてきて、俺への嫌がらせのために幼馴染みの少女を襲撃する。  彼女を傷つけた連中に、俺はブチギレて瞬殺した。 「コイツを泣かせていいのは俺だけで、俺に勝っていいのもコイツだけなんだよ……!」 ※※※  これはヤンデレ風味で実は幼馴染みが大好きな最強の少年と、ツンデレで彼にだけ素直になれない幼馴染みが、成り上がるための物語。  鉱山の街で不正な搾取を働く領主一族がいれば、これに取り入ってコネを作り。  賭博の街で欲しい装備があれば、正々堂々賭けに勝ちまくって経営者から奪い取り。  強大な魔獣がいれば、魔王からもらったアイテムで即座に始末し。  幼馴染みに聖剣を与えるために、手放したくない聖教会の大司教を言い負かす。  やりたい放題好き勝手な、闇の勇者の英雄伝、開幕!  
作品情報
ハイファンタジー[ファンタジー]
最終更新日:2020年08月25日
連載 完結済 24エピソード
「こいつ、追放します」  目つきの悪い30歳、遊び人のライズは魔王を倒して凱旋した後、国王の面前で勇者にそう告げられた。 「あー、まぁいいっすよ?」  軽いノリでパーティーを離脱したのも、それはそのはず。  ライズは自ら勇者に頼んで、自分をわずらわしいパレードだの英雄だのという存在から外してもらったのだ。  彼は極度のめんどくさがりだった。  謁見の後、追放の礼として仲間内だけで開かれた宴会で勇者から婚約者を迎えに行く依頼を受けた彼は、仲間の三下賢者、サモンとともにブラブラと旅に出る。  そして途中で遭遇したケモノ耳の少女をナンパしていた連中を、めんどくさいと思いながらもあっさりと倒した。 「あ、遊び人のくせになんでそんな強ぇんだよ!?」 「さぁ?」  遊び人は、極める奴がいないので今まで誰にも知られていなかった特殊な能力があった。 『見盗った技を魔力なしで発動できる』 『範囲攻撃を確定回避』 『攻撃すれば急所に当たる』  などなど。  遊びと幸運は、実は最高神である女神が人間に与えた規格外の能力だったのである。  めんどくさがりゆえに全く名を知られることのなかった最強の遊び人は、助けた少女を連れて今日ものんびりと、勇者の婚約者を迎えに行くのだった。  
作品情報
ハイファンタジー[ファンタジー]
最終更新日:2019年04月01日
短編
この世の誰よりも醜く、公の場にヴェールなしで立つことはなかった女王が死んだ。 あまりにも突然の死に、王位継承権を持つ者たちはざわめく。国防の要であった結界を維持するために必要とされる指輪がどこにもなかったからだ。 継承権第一位だった侯爵が暫定的に王位に就くも、指輪がなければいずれ結界が消滅し、国が脅かされる。 皆が王城で指輪を探す中、王位継承権第二位の主人公は女王の部屋で厳重に隠された鍵を見付ける。 鍵に導かれ、城の地下に存在する迷宮を抜けた先には、美しい森と、一軒の屋敷。屋敷の家令に案内された中庭で、主人公は運命の出会いを果たす。 主人公を迎え入れたのは、この世のものとは思えぬほどに美しい少女。 女王を母と慕う少女は、目が見えなかった。 現実世界を知らず、理想の中で貴族令嬢として育てられた少女に請われ、外の世界を少しずつ教えていく主人公。 惹かれあっていく二人を、少女の指にはまる指輪が許さない。 少女の愛でしか抜けない指輪を手に入れるため、現王は主人公の顔の形も分からぬほどに痛め付け、見た目のよく似た男に少女へ愛を囁かせる。 しかし、少女にはもう一つ秘密があった。それは、魔力が視えること。人はそれぞれに異なる魔力を持ち、少女には主人公が目の前にいないことを知っていた。 主人公を探す少女。主人公の友人の助けで牢に繋がれた主人公を見付け、お互いに想いを伝え合う二人。 少女の指から抜けた指輪は、主人公の指にするりとはまり、抜けなくなった。 王位が欲しい訳ではないと、主人公は結界の管理を約束し、少女と共に屋敷で暮らすのだった。 ※この作品は、上記の南雲 皐さんのあらすじを元に、南雲皐さん、野菜ばたけさん、凡仙狼のpecoの三人が、別々に作品を書き上げるという『三者三様あらすじ共有企画』の作品です。 『三者三様あらすじ共有』のタグで検索出来ます。 南雲 皐さん作品タイトル『鮮血侯爵と盲目令嬢 〜指輪の繋ぐ運命の恋〜』 野菜ばたけさん作品タイトル『復讐の為に王位を欲した侯爵は、絶世の盲目臆病令嬢が最高最大の誤算でした』
作品情報
異世界[恋愛] R15残酷な描写あり
最終更新日:2022年05月22日
連載 完結済 41エピソード
 CLUB『UteLs』。  その不思議なCLUBには、一人の少年が住んでいる。  冬子は、ある日不思議な夢を見た。  それが、春樹と冬子の初めての出逢い。  そしてその二人の出逢いが、死霊の王を巡るおぞましい事件の始まり。
作品情報
ホラー[文芸] R15残酷な描写あり
最終更新日:2017年02月02日
連載 完結済 68エピソード
「俺と一緒に、魔王を倒さないか?」  幼なじみの勇者に勧誘されて断った青年・ティーチは、生まれ故郷の村で平和に暮らしていた。  しばらくして、村に帰郷した勇者に『ここから先は危険だから』と、パーティーから追放された少女を預けられる。  ーーー俺も大したヤツじゃねーんだけどなー。  落ち込む彼女を弟子にしたティーチは、新米師匠として彼女の指導に四苦八苦しつつ一緒に暮らしていたが、その内に懐いた彼女に、身の回りの世話をめちゃくちゃ焼かれてしまう。  指導に自信は持てないし、逆に私生活の至れり尽くせりで自堕落に拍車が掛かるうちに、勇者はさっさと魔王を倒して、自分が住む国の王になってしまった、  平和になり、強さも必要なくなったのだが、なぜか弟子はティーチから離れず、相変わらず身の回りの世話をしてくれる。  そんなわりと幸せな生活を送っていると、王になった勇者から何故か刺客が送られて来た。  あっさり返り討ちにしたところ、ティーチは『スライムに魂だけを宿した勇者』に、衝撃の事実を告げられた。  魔王が死んでおらず、勇者は体を乗っ取られて仲間たちも洗脳され、王国を乗っ取られてしまったというのだ。  助けてくれ、という彼に、ティーチは仕方なく立ち上がる。  これは見ず知らずの誰かのためには頑張れないが、自分の好きな人々のためなら少しだけ頑張れる男の、語り継がれない英雄譚。  勇者の剣の【影打ち】を手にして、魔王討伐のその後を預かった、弟子と親友のために戦う男の話。  
作品情報
ハイファンタジー[ファンタジー]
最終更新日:2022年04月26日
連載 完結済 118エピソード
※陰陽五行を下敷きにしたダーク・ファンタジーです。 ある日人攫いの村で奴隷をしていた少女は、村を壊滅させた青年、シラヌイと出会う。 スイキと言う名の朱い髪と瞳を持つ彼女は、甚大な呪力を持つ『鳥の民』と呼ばれる一族の生き残りだった。 シラヌイに拾われた彼女は、神に等しいその力を狙う皇国と、彼女を利用しようとする和繋国の思惑により、住んでいる村を襲撃される。 様々な思惑が絡む中、彼女は、残酷な世界に向かって叫ぶ。 「―――何故、私なのですか!」 失われたもの、取り戻すべきもの。 それらを巡る旅路の中で、彼女の目にしたものは……。 完結しました。
作品情報
ハイファンタジー[ファンタジー]
最終更新日:2019年10月27日
連載 完結済 37エピソード
 ナーロッパ大陸から遥か東にある島国は、各地で『魔王級』と呼ばれる強さの者たちが数多く住んでいる魔境である。  その地に住む青年、ラセツは『西の魔王』を倒したという女勇者をあっさり返り討ちにした。  ラセツの人生は、そこから少しずつ変わり始める。  ーーーただ、勇者を倒しただけなんだがなぁ。
作品情報
ハイファンタジー[ファンタジー]
最終更新日:2020年03月16日
連載 完結済 4エピソード
   むかしむかし、ではなく、ちょっとだけ昔。  あるお屋敷に、ゼゾッラと呼ばれる結構勝ち気な公爵の娘が住んでいました。  彼女は、王子の許嫁。  美しくも愛嬌のある顔立ちをした彼女は、剣聖と呼ばれる腕前の父と精霊使いの母に愛され、幸せに暮らしていました。  ですがしばらく経ったある日、病を患った母が亡くなり、父親が、後妻を迎え入れました。  同じく夫を病で亡くした、かつて『氷の剣姫』と呼ばれた義母は、二人の娘を連れて共に暮らし始めます。  しかしその後、隣国へと出かける途中。  ゼゾッラは馬車ごと谷底に落ちて、父と共に亡くなってしまいました。  その葬儀が終わって、数ヶ月。  後妻と二人の娘が遺された屋敷に、一人の侍従が姿を見せるようになりました。  いつも灰に汚れた長い髪で顔を隠し、みすぼらしい服装をした彼女は、義母と二人の娘の身の回りの世話をしていると言われていましたが。  何故かほとんど、お屋敷から出ることを許されていないようでした。  義母と二人の娘は、彼女をこう呼んでいました。  ーーー『灰被り』、と。  その少女を冷遇する後妻と、二人の娘。  許嫁の死が、何者かの陰謀ではないかと疑う王子。  剣聖が持っていた地位を継いだ弟の、現公爵。  思惑入り乱れる、今宵。  顔も知れぬ者同士が剣舞の美しさを魅せ合い、強さを競う王家主催の『仮面舞闘会』が開かれます。  その最中、王子の前に姿を見せたのは、灰色の仮面を被った細身の舞闘士。  剣聖の血筋にしか操れぬ硝子の双剣を振るう者に、王子は剣を掲げます。 「私と踊っていただけますか? ーーーゼゾッラ」  問いに答えぬ灰仮面と、青髪の王子の輪舞。  決着がつかぬまま、十二時の鐘が鳴り。  その、残された硝子の双剣の片割れを王子が手にし、持ち主を探すお触れを出した時。  ーーー十年前の謎の扉が、音を立てて開くのです。  
作品情報
推理[文芸]
最終更新日:2020年12月21日
連載 完結済 27エピソード
   ーーー〝氷の剣姫〟スオーチェラ=ベラ・ドンナ。  ペンタメローネ王国の社交界で誰ともなくささやかれるようになった、ドンナ侯爵家令嬢の異名は、その容姿とともに広く知られている。  妖精のように可憐な顔立ち。  藍色の、艶やかな髪。  そうして静かに佇むさまは、誰もが一瞬、目を奪われるほどに美しいと称えられていた。  しかし同時にベラは、その微笑みを見た者はいない、とも言われるほど、全く表情を変えないことでも有名であり、一部の貴族子弟の無礼を、一言で切り捨てる舌鋒(ぜっぽう)の鋭さもまた、名が広まる理由の一つだった。  さらに剣の腕も立つ、文武に優れた完璧な淑女。  その様子と、立ち振る舞いの一分の隙もない完璧さから、氷になぞらえられているのだ。  そんなベラに憧れる貴族の乙女らは多い。  が、逆に家柄も高く微笑み一つの愛嬌もない〝氷の剣姫〟に手を出す度胸のある男はいなかった。  ゆえに嫁ぐ相手は、傑物と名高く、縁戚にある公爵家嫡男か、第一王子であろうとまことしやかに囁かれていたが……。 「隣国の軍に属する、参謀に嫁げ……?」  ベラに父親が告げたのは、そんな一言だった。    つい先日終戦協定を結んだばかりで、自国隣国ともにきなくさい情勢の中での、政略結婚。  それを受け入れたベラが隣国に向かうとーーー婚約者は、逃げていた。 「どういうことですの……?」  追いかけて会ってみると、平民からありえないほど出世をした彼は、人間社会で差別される獣人だったのだ。  それでも両国の友好のために結婚しろと迫るベラに、白磁の獅子の容姿を持つ彼は言う。 「俺の嫁になるなど、自分がどんな目で見られるか分かっているのか?」 「気にしませんわ。わたくし的に、その獅子のご容姿も悪くはありません。……不安がおありでしたら、お互いをよく知るために、婚前旅行などいかがでしょう?」  説得するための提案を呑んだ彼とともに、ベラは二人で旅に出る。  これは徐々に愛を育む、美女と野獣の婚前旅行のお話。  
作品情報
異世界[恋愛]
最終更新日:2022年07月16日
連載 完結済 52エピソード
『お前の居場所ねぇからァアアアア!!!www』  と、出る杭として打たれ、ハメられて莫大な借金を背負わされ商会ギルドを追放された商人、アルゴはそれをむしろいい転機だと思った。 『組織の下につくのは煩わしい。だから、俺が作る。傭兵ギルドも魔物狩りギルドも商会ギルドも全部一緒くたにしたバカデカい組織……〝冒険者ギルド〟をな』  腐敗したあらゆる組織をぶっ潰し、搾取され、貧乏で野垂れ死ぬ奴が少しでも減るように。  そう考えたアルゴは、まずは資金の融資とそれを集める名声を手に入れるために、仲間と共に動き出す。  インテリヤクザなオールバック、礼服を着た商人アルゴ。  超絶美形で貴族の息子、黒いローブをおしゃれに着こなす三下属性の魔導士イーサ。  食欲魔人で美男美女大好き、狼獣人の美少女ウルズ。    アルゴは、借金の担保と準備資金として、経済の動向を読んである程度の財産を作り。  富豪との交渉や、Sランク傭兵とのコネ作りをし。  『Fランク魔物狩りのまま、Sランク指定ダンジョンを踏破する』という目標を立て、これを実行。    あの手この手で、正々堂々商人としてのスキルを遺憾なく駆使しながら名声と金銭を溜め込み、ひたすら『冒険者ギルド設立』という目標に向かって突き進んでいく。  これはアルゴが、伝説として名を刻むために生きるお話。   『ーーー俺がアルゴだ。お前らが見る目のなさを後悔しても、もう遅い』  
作品情報
ハイファンタジー[ファンタジー]
最終更新日:2021年03月25日
連載 完結済 365エピソード
 クトーは、『最強』と名高い大規模冒険者パーティーで雑用係をしている、インテリメガネのおっさんだ。  彼はある日、リーダーに呼び出されてパーティーのメンバーに取り囲まれた。 「お前に、休暇を命じる」 「別にいらんが」  幼馴染みでありリーダーでもあるリュウに突然休暇を言い渡され、解雇か? と思ったらどうも様子がおかしい。  クトーが要請を拒否すると、リュウは強行手段に出た。  パーティーメンバー全員と共謀し、ギルド・国王まで巻き込んでクトーに無理やり『休暇依頼』を出したのだ。  依頼達成率100%というパーティーの実績に泥を塗るわけにはいかないクトーは、仕方なく温泉街クサッツまでの交通手形と路銀を手に旅立つ。  パーティーの雑用係を自認し、実態を知る人々には『無敵のNo.2』『実質は黒幕か裏ボス』と恐れられるクトーこそが、最強と呼ばれるパーティーメンバーを育て上げた人物だった。  人材育成のエキスパート。  経営管理・兵站確保のプロフェッショナル。  単騎でパーティーの前線を支える、勝利と策謀の鬼神。  自覚のない戦闘&事務チートなワーカーホリックは、休暇中だろうと変わらない。  拾った少女に戦闘のいろはを叩き込んで人材育成!  若くして旅館を継いだ女将を助けて経営回復!  ついでに温泉街に潜む黒幕を片手間に叩き潰しながら、クトーは本人なりに『休暇』の日々を過ごしていく。  ※書籍三冊、コミカライズ一冊発売中!
作品情報
ハイファンタジー[ファンタジー]
最終更新日:2021年03月25日